株式会社ネリーズ、有限会社中日書房、株式会社ラインズオカヤマ様のご支援の元、2015年後半に5回のセミナーが開催されました。どの会場も大変な盛り上がりでした。私の発表は、主に以下の内容でした。

①英語教育の今後
2020年度から実施の新しい大学入試では、4技能をコンピュータで測る新テストが導入されます。現在の中学1年生からがその対象になります。Speakingはもちろん、コンピュータによるWriting、つまりタイピングのスキルも必要になってきますが、それに対する議論はほとんどなされていないのではないでしょうか。一方で、グローバル人材として必要なスキルについて行われた最近のアンケートでは、交渉や会議などにおけるSpeakingはもとより、Eメールや会議資料などのWritingのスキルも要求されています。そこでは、Speaking以上のAccuracyが要求されます。
Writingやタイピングのスキルは、すぐに身につくものではありません。そこで、中学の段階からあとで紹介するコロコロイングリッシュによる学習を始めておくことを強くお勧めしておきます。

②アクテブラーニングについて
従来型の知識偏重の教育では、現代の複雑な社会構造において能動的・創造的に生きる力にはならないことが明確になっているため、アクティブラーニングの必要性が叫ばれています。最近の研究によると、単純な作業にはインセンティヴを与えた方が能率が上がり、創造性を必要とする作業では、逆にインセンティヴを与えることが能率を妨げるという事実が明らかになっています。英語学習も同じで、文法や語彙をアメとムチで生徒を追い込みながら叩き込ませるやり方は、全く効率的ではありません。英語学習が楽しく英語が好きになり、学習に興味を持たせること事がこれからの英語教育の役割ではないでしょうか。つまり、「内発的動機付け」を高めることです。また、宇宙のように広い英語の知識を英語教師が全て与えるという考えは、教師の傲慢です。英語の学習の仕方を教え、生徒の学習をマネジメントし、将来の目標にモチベートすることこそが「先生」(=先に生まれた人)の役割ではないでしょうか。”Teaching is secondary.”です。

以上まとめると、これからの英語教育に必要なことは・・・

  • ビジネスで活躍できるグローバル人材の育成
  • 英語の「学び方」を教える(特に辞書指導)
  • 現実の生活の中で活用できる英語力
  • 知識を与える作業はコンピュータに任せる!
  • 英語を通して人間性を涵養する

と言えます。

③映画教材について
映画のClipを授業で使うことは、英語を楽しく学習し、しばしば人生の指針を与えることに直結します。また、役者たちの迫真の演技によって発せられた映画のセリフには、生徒たちが今後使えそうな表現が満載です。セミナーでは、YouTubeの映画”Titanic”のシーンを使ったアテレコのワークショップを行いました。大変な盛り上がりで、あとで「身震いがした」と報告される先生もいらっしゃいました。教材作成は誰でも簡単に、5分以内でできます。本当に簡単で、授業ではどの生徒も楽しく参加でき、アテレコ活動で身につけた表現や、授業が楽しかったという感覚は、一生残るに違いありません。その方法を簡単に記載します。

(1) PowerPointにYouTube動画を挿入する方法
1) YouTubeで動画を開き、「共有」「埋め込みコード」で表示されるコードの “https://www.youtube.com/embed/xxxxxxxxx” の後半の ” の前に ?autoplay=1 を挿入する
例)
<iframe width=”560″ height=”315″ src=”https://www.youtube.com/embed/1YGfrGKK9Mo?autoplay=1” frameborder=”0″ allowfullscreen></iframe>
2) [Ctrl]+[A]で全体を選択し、[Ctrl]+[C]でコピーしておく
3) PowerPointで「挿入」「ビデオ」「オンラインビデオ」を開き、「埋め込みコード」に[Ctrl]+[V]で張り付けて、[Enter]
4) しばらくすると黒い四角形が張り付けられるので、位置と大きさを変える。このような動画がPowerPointで表示されるので、その横にセリフを張り付けておいて動画と目線を変えずに見られるようにしておく。

(2) 映画のセリフを検索する方法
Googleなどで「titanic script “I’m flying”」などと検索して、使いたいシーンのセリフをスライドに貼り付ける。

(3)録音の方法
1) 静かな環境で、「スライドショー」:「スライドショーの記録」で動画に合わせてオーバーラッピング
2) 終了時は、[ESC]キー
3) やり直しは何度でも可能だが、前回の録音分はなくなる

(4) 再生の方法
スライドショーを普通に実行すると、自分の声と動画が再生される。YouTubeの音声を「ミュート」にしておくと、自分の声だけが再生される。

たったこれだけです。使いたい映画のシーンが決まると、授業準備はほとんど要りません。早速、夏期補習から是非是非やってみてください。この方法を見つけ出すのに丸3日かかりました。これからどんどん日本中に広めていきたいと思っています。

④コロコロイングリッシュについて
知識の獲得を伴わないアクティヴラーニングは無用です。アウトプットやYouTube、TEDなどを使った楽しい活動のベースには、日々の繰り返しの文法知識や語彙知識(語彙チャンク)のインプットの作業が必要で、高校生には最低限英検2級、センター試験程度の知識量が必要とされています。その、ベースの部分を確保するのがコロコロイングリッシュです。英検2級、センター試験のカバー率は98%で、ということはCEFR-Jの語彙リストとの親和性も高いものと思われます。セミナー参加者にはお試しIDを配布しましたが、このブログだけをご覧の方にもお試しIDをお配りしますので、是非是非お試しの上、生徒へのご案内をお願いします。コロコロイングリッシュもまた、日本中に広めていきたいと思っています!!!

発表の詳細は、以下のPDFをご覧ください。
1. ESN抜粋